Good day ! 2
「俺、ボロッカスなのかなあ」
「ボロッカスよ!だから私に電話してきたんでしょ?」
「ああ、うん。一人でどうにも出来なくて、誰かに聞いて欲しくて。こずえしか思い浮かばなかった」

そう言うと、ふいに涙がこみ上げてきた。
驚いて慌てて目元を拭う。

「伊沢。あんたさ、まずは自分を大事にしな。職場が同じだから難しいかもしれないけど、恵真のことは考えないでさ。ほら、なんか楽しい事とかないの?趣味とか」

趣味ー?と伊沢は、眉をひそめる。

「えー?そんなのないわ」
「もう!この飛行機バカ!」
「それはお前もだろ?」
「仕方ないじゃない。パイロットは基本、飛行機バカなんだから」
「ほら見ろ。じゃあ俺だって仕方ないもんね」
「でも私はあんたみたいな、ボトムレスお人好しじゃないもーん!」
「変なあだ名付けるな!」
「ふん!悔しかったら卒業してみせなさいよ、その筋金入りのお人好しを!彼女作ってルンルンな日々を送ってみせなさいよ!」
「あー、分かったよ。報告の電話、楽しみにしてろよ」
「言ったわねー。じゃあ次は幸せいっぱいで電話してきなさいよ!」
「おう!望むところよ!」

鼻息荒く、伊沢は電話を切る。
妙に身体にパワーがみなぎっているのを感じて、思わず苦笑いした。

「よっしゃー!俺も幸せ見つけてやろうじゃないの!」

部屋で一人、ガッツポーズをして気合いを入れた。
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