Good day ! 2
同じ頃、ソウルから羽田へのフライトに大和は伊沢と乗務していた。
荒天に注意深く対策を練る。
「霧で視程も悪く、雨も風も強いですね」
「この様子だとダイバートもあり得るな。燃料との戦いもある」
「そうですね。今、上空に待機しているのは15機。何度も着陸を試みる余裕はなさそうです」
長い間待たされ、そろそろか?と思ったその時、一つ前の先行機に管制官が着陸の許可を伝えるのが聞こえてきた。
「JW 860. Runway 22. Cleared to land. Wind 190 at 17」
「Runway 22. Cleared to land. JW 860」
ん?と大和は首をひねる。
「うちの860便って、上海からだよな?」
「そうです。あれ?ひょっとして、今日恵真が乗ってますか?」
「ああ。でも今のリードバックの声…、倉科さんじゃなかった?」
「確かに。えっ?!それって…」
まさか、恵真がPFを?!
無言で互いに顔を見合わせる。
思わず身を乗り出して目を凝らすが、当然確認する事は出来ない。
(恵真!)
大和はただひたすら、心の中で無事を祈る。
長い時間に感じられたが、実際は数分だっただろう。
やがて管制官から自分達へ、先行機が無事に着陸したと告げられた。
「JW 866. Preceeding traffic touch down. Runway 22. Cleared to land. Wind 190 at 17」
やった!と叫んだあと、伊沢はリードバックする。
「Runway 22. Cleared to land. JW 866」
(よくやった、恵真…)
大和は思わず胸元を掴んでホッと息を吐くと、気持ちを入れ替えて前を見据えた。
「Cleared to land. 伊沢、行くぞ!」
「はい!」
高度を下げると共に、強烈な雨と風に晒される。
「ランウェイ、まだ見えません」
「焦るな、必ず見える。恵真が下りたんだぞ?俺達が下りなくてどうする」
「はい!」
そうだ、恵真が下りたんだ。
自分が下りなくてどうする。
大和は沸々と勇気が湧いてくるのを感じた。
「Runway in sight」
「Roger」
「Approaching minimum」
「Checked」
「Minimum」
「Landing」
横風が強いが、クロスウインドランディングなら自信がある。
何度も恵真とシミュレーションしたんだ。
きっと恵真も…
ゴツッ!と風上側のギアが接地する。
少し片輪で走ってから、滑走路に機首を正対させて風下側のギアも接地させた。
「Speed breaks up」
伊沢がコールする。
ノーズギアもしっかり接地し、水しぶきを上げた機体はスラスト・リバーサーで一気に減速していく。
「Reverse normal」
やがて伊沢が「Sixty」とコールし、大和はレバーを戻した。
機体は減速し、地上を走行して無事にゲートに到着した。
「ナイスランディング。お疲れ様でした」
「お疲れ様」
二人はホッと肩の力を抜く。
あとは…。
ただ恵真に早く会いたかった。
荒天に注意深く対策を練る。
「霧で視程も悪く、雨も風も強いですね」
「この様子だとダイバートもあり得るな。燃料との戦いもある」
「そうですね。今、上空に待機しているのは15機。何度も着陸を試みる余裕はなさそうです」
長い間待たされ、そろそろか?と思ったその時、一つ前の先行機に管制官が着陸の許可を伝えるのが聞こえてきた。
「JW 860. Runway 22. Cleared to land. Wind 190 at 17」
「Runway 22. Cleared to land. JW 860」
ん?と大和は首をひねる。
「うちの860便って、上海からだよな?」
「そうです。あれ?ひょっとして、今日恵真が乗ってますか?」
「ああ。でも今のリードバックの声…、倉科さんじゃなかった?」
「確かに。えっ?!それって…」
まさか、恵真がPFを?!
無言で互いに顔を見合わせる。
思わず身を乗り出して目を凝らすが、当然確認する事は出来ない。
(恵真!)
大和はただひたすら、心の中で無事を祈る。
長い時間に感じられたが、実際は数分だっただろう。
やがて管制官から自分達へ、先行機が無事に着陸したと告げられた。
「JW 866. Preceeding traffic touch down. Runway 22. Cleared to land. Wind 190 at 17」
やった!と叫んだあと、伊沢はリードバックする。
「Runway 22. Cleared to land. JW 866」
(よくやった、恵真…)
大和は思わず胸元を掴んでホッと息を吐くと、気持ちを入れ替えて前を見据えた。
「Cleared to land. 伊沢、行くぞ!」
「はい!」
高度を下げると共に、強烈な雨と風に晒される。
「ランウェイ、まだ見えません」
「焦るな、必ず見える。恵真が下りたんだぞ?俺達が下りなくてどうする」
「はい!」
そうだ、恵真が下りたんだ。
自分が下りなくてどうする。
大和は沸々と勇気が湧いてくるのを感じた。
「Runway in sight」
「Roger」
「Approaching minimum」
「Checked」
「Minimum」
「Landing」
横風が強いが、クロスウインドランディングなら自信がある。
何度も恵真とシミュレーションしたんだ。
きっと恵真も…
ゴツッ!と風上側のギアが接地する。
少し片輪で走ってから、滑走路に機首を正対させて風下側のギアも接地させた。
「Speed breaks up」
伊沢がコールする。
ノーズギアもしっかり接地し、水しぶきを上げた機体はスラスト・リバーサーで一気に減速していく。
「Reverse normal」
やがて伊沢が「Sixty」とコールし、大和はレバーを戻した。
機体は減速し、地上を走行して無事にゲートに到着した。
「ナイスランディング。お疲れ様でした」
「お疲れ様」
二人はホッと肩の力を抜く。
あとは…。
ただ恵真に早く会いたかった。