Good day ! 2
「伊沢さんは、やっぱり大人しくて控えめな女の子が好きですよね?」
「えー、じゃあ私とか?」
「何言ってるのよ。控えめな子は自分でそんなこと言わないわよ」
「じゃあこれから控えめにしまーす」

あはは!と楽しそうに笑う皆に合わせて、伊沢も愛想笑いをする。

「きゃ!伊沢さん、笑うと可愛いですね」
「ほんと!年下のアイドルみたい」

伊沢は苦笑いして否定する。

「いや、まさかそんな…」

するとその場の皆が矢継ぎ早に質問してきた。

「ね、伊沢さん。今フリーなら思い切って、ここにいる誰かとつき合ってみませんか?」
「私とかどうですか?」
「もし一人に決められないなら、まずはグループで遊びに行きません?」
「あ、そうしましょうよ!他にも何人かコーパイ誘って」

それいいね!と、もはや決定とばかりに女の子達ははしゃいでいる。

「あの、ごめん。俺、今は勉強しなきゃいけない事がたくさんあって。休みの日も遊びに行ったり出来ないんだ。つまんない男だろ?だからもう、俺なんかには声かけてくれなくていいよ」

ええー?と、不服そうな声が上がる。

「ごめんね、本当に。じゃあ、そろそろ行くね。あ、皆さんはごゆっくり」

お札を数枚テーブルに置くと、伊沢さーん!と呼び止められる声を振り切って店を出る。

(はあ、疲れた…)

大きくため息をついて空を見上げた。

(操縦よりもよっぽど疲れた。俺ってやっぱり、誰ともつき合ったり出来そうにないな)

「悪いな、こずえ」

ポツリとそう呟いて、伊沢はホテルへの道を急いだ。
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