Good day ! 2
「大和さん、もうここで大丈夫です」

空港ターミナルビルの駐車場の一角、人気のない場所で恵真が声をかける。

「入り口の近くまで行くよ」
「いえ!本当にもうここで」

誰かに見られないかを気にする恵真が必死で訴え、仕方なく大和は車を停めた。

「じゃあ、行ってきます。お休みなのに送って頂いてありがとうございました。今日はゆっくりしてくださいね」
「ああ。恵真も気をつけて行ってらっしゃい」
「はい」

すると恵真は、キョロキョロと辺りを気にしたあと、大和に顔を近づけてチュッと唇にキスをした。

大和が怯んだ隙にドアを開けて出て行くと、タタッと小走りで進んだ先で振り返り、小さくこちらに手を振ってから、また急ぎ足で自動ドアの中に入っていった。

(な、何なんだあれは。可愛すぎるだろ!)

不意打ちを食らって不覚にも顔を真っ赤にした大和が、思わず口元を手で覆ってうつむく。

(あー、早く会いたい!連れ戻そうかな)

真顔でそんな事まで考える大和だった。
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