Good day ! 2
恵真がスタッフから受付の流れを聞き終わった頃、ゲストが到着し始めた。

「あら、藤崎さん!受付してくれてるの?」
「こんにちは。そうなんです。こちらの芳名帳にご記帳をお願いします」

職場の上司や先輩、後輩、とにかく顔見知りのゲストが続々とやって来る。

恵真が一人で対応に追われていると、いつの間にか隣で大和が同じようにゲストに記帳を促し、ご祝儀を受け取ってくれていた。

「おお、佐倉くん。久しぶりだね。相変わらず良い操縦するらしいじゃないか。噂はかねがね聞いてるよ」
「ご無沙汰しております。いえ、まだまだ至らぬ事が多く、日々勉強を重ねております」

役員クラスの上司に対応してくれる大和に、恵真はホッとした。

(私なんか、顔も名前も覚えてもらってないものね。良かった、大和さんがいてくれて)

そうこうしているうちにゲストが揃い、恵真と大和も受付を離れて席に着く。

会場に控えめに流れていたBGMと照明が落とされ、司会の伊沢がマイクで話し始めた。

「えー、皆様。大変長らくお待たせ致しました。これより、新郎新婦のお二人が入場されます。どうぞ大きな拍手でお迎えください」

音楽が流れ、入り口にスポットライトが当てられる。

皆が拍手をしながら注目する中、やがて扉が左右に開いて、野中と彩乃の二人が腕を組んで現れた。

「わー、素敵!」
「野中さん、かっこいい」

皆、一斉に笑顔になる。

ゆっくりと歩きながら祝福の言葉に会釈する二人に、恵真も大和も大きな拍手を送った。
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