Good day ! 2
乾杯のあと、食事と歓談の時間となり、会場の雰囲気も和む。

美味しい料理を味わっていると、入り口からそっと入って来るパイロット姿の同僚達を見つけて恵真は立ち上がった。

「お疲れ様です」
「お、藤崎か。お疲れ様。俺達これからフライトなんだけど、少しだけでも野中さんの晴れ姿を見たくてさ」
「ありがとうございます。今、歓談の時間ですから、どうぞ野中さんとお話してきてください」
「そうか、うん。行ってくるよ」

恵真が見守っていると、
「野中さん、本日はおめでとうございます」
「おおー!ありがとな、忙しいのに」
「いえ。ひと目だけでも、野中さんと奥様の幸せなお姿を拝見出来て嬉しいです」
というやり取りが聞こえてきた。

(良かった、この会場をお薦めして)

恵真が微笑んでいると、また新たにそっと入り口から中を覗き込むCA達がいた。

恵真は入り口まで行き、どうぞと中へ促す。

フライト前のCA達も野中に挨拶に行き、嬉しそうに言葉を交わして写真を撮る。

その後も何人かを中に招き入れ、やがて12時になると、昼休みに入ったオフィスの社員が一気に現れた。

恵真は入り口の近くに設けられたテーブルに案内し、壁際に用意されたビュッフェカウンターの料理を勧める。

「え?食べてもいいんですか?」
「はい。新郎新婦のお二人が、昼休みに来てくださる方の為にと。どうぞお召し上がりください」
「ありがとうございます!じゃあ昼休み丸々1時間、ここにいられるな」

続々と現れる社員に、恵真は大和と一緒に対応した。

料理が落ち着いた頃、前方のスクリーンに野中と彩乃の結婚式の様子が上映される。

「わあ!なんて素敵…」

受付のテーブルを前にして、会場の1番うしろから、恵真は映し出される挙式の様子に釘付けになる。

ステンドグラスが輝くチャペルの中、長いバージンロードをゆっくりと歩くうつむき加減の彩乃。

そんな彩乃を見つめる野中の眼差しも、温かく優しい。

向かい合って指輪を交換し、ベールを上げてキスをする二人に、恵真は思わず涙ぐむ。

そんな恵真の肩を、大和はそっと抱き寄せた。
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