オテヤワラカニオネガイシマス!
「はあ」
ひと気のない公園のベンチにかけ、てのひらにのせたコウモリを見つめる。
どうしてもわたしには
この子を見捨てるなんて、できないよ。
だってさ、
顔なんて仔犬みたいに可愛いし
自分の力では動けないみたいだけど、ちゃんと息だってしてるのに
このまま死んじゃうの?
「無力……だなあ」
殺処分される動物の話を聞くたびにみんな助けてあげたくなるけれど、育てる場所もお金もないことくらい、わかってる。
『んなこと言ったらキリがねえよ。目の前にいる動物救えりゃ満足か? 偽善者め』
お兄ちゃん、わたしに、そう言う。
口は悪いけど、たぶん、間違ってはいない。
うちは、高校生のお兄ちゃんと二人暮らしで余裕があるわけじゃないし。
中途半端に手助けするのは残酷なのかもしれない。