吸って愛して、骨の髄まで
艶やかな黒髪と白い肌を持ち合わせ、小さく整った顔の母。
高身長でスタイルが良く、つり目が特徴の同じく綺麗な顔立ちの父。
美男美女を絵に描いたような二人の容姿を、そのままそっくり受け継いだ。
私はあんな二人のようには絶対にならない…なりたくない。
でも、そう思っている以上に二人の血は濃くて、それは間違いなく私の中にも流れている。
今はまだ大丈夫と思っていても、いつか二人のような人間になってしまうのかもしれない…って。
そう思うだけで、震えが止まらない。
私を必要としてくれる人たちがいるのは知っているし、私もそれに応えたいと心から思っているけれど。
私がいくら頑張ったって、この血だけはどうしても無くならない…この身体の中から消えてはくれないでしょう…?
それならもういっそのこと…なんて。
*
「…本気で、そう思っていたの」
「薫子…」
全て話し終えた頃には、私たちの周りだけ重たい空気に包まれていた。
全部話しちゃうなんて…私って馬鹿なのかしら。
あんな渋っていたのに、結局それも水の泡。