吸って愛して、骨の髄まで

「いえ…なんでもないわ。少し寝不足なのかも」



「今日一限目自習っぽいし寝ちゃえば?まぁ、怒られても自己責任でよろしく」



「……」



といった感じで、私に対してもつっけんどんだったりする。



でも…そんなところが翼らしくて、可愛いところのひとつでもあるの。



ずっとこんな私のそばにいてくれて、悲しい時にはそっと肩を支えてくれる…本当に大好きで大切な親友。



…私、そんな親友を置いて行こうとしていたのね。



自分の席に着いてから、もう一度昨日のことを思い返す。



彼と…理央と契約を交わした昨日のことを。





「…うん。これで薫子は、晴れて僕の契約者だよ。身体に変化はない?大丈夫?」



「えぇ…特に何もないと思うわ」



理央の腕の中でみっともなく泣きはらした後、もう一度吸血された。



24時間以内に同じ人間の血を吸うことで、彼ら吸血鬼たちと人間との間に契約が結ばれると言う。



契約と言われて何をされるのかと思っていたけれど、それは案外あっさり結ばれて少し拍子抜け。
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