吸って愛して、骨の髄まで
「いえ…なんでもないわ。少し寝不足なのかも」
「今日一限目自習っぽいし寝ちゃえば?まぁ、怒られても自己責任でよろしく」
「……」
といった感じで、私に対してもつっけんどんだったりする。
でも…そんなところが翼らしくて、可愛いところのひとつでもあるの。
ずっとこんな私のそばにいてくれて、悲しい時にはそっと肩を支えてくれる…本当に大好きで大切な親友。
…私、そんな親友を置いて行こうとしていたのね。
自分の席に着いてから、もう一度昨日のことを思い返す。
彼と…理央と契約を交わした昨日のことを。
*
「…うん。これで薫子は、晴れて僕の契約者だよ。身体に変化はない?大丈夫?」
「えぇ…特に何もないと思うわ」
理央の腕の中でみっともなく泣きはらした後、もう一度吸血された。
24時間以内に同じ人間の血を吸うことで、彼ら吸血鬼たちと人間との間に契約が結ばれると言う。
契約と言われて何をされるのかと思っていたけれど、それは案外あっさり結ばれて少し拍子抜け。