吸って愛して、骨の髄まで
他に何か大事なことがあったりしたら、聞いておいた方がいいわよね?
契約というには、何かしらの縛りがあったりするはず。
「えっと、御影…だったかしら」
さっき彼が自己紹介した時に口にしていた名を思い出してそう呼んだら、やれやれと肩をすくめた。
「やだなぁ、契約を交わした相手を苗字呼びなんて。理央って呼で欲しいなぁ…」
し、下の名前…ってこと?
私は男性経験がほとんど皆無のため、異性を下の名前で読んだことは小学生の時以来一度もない。
吸血までされたのに何を言っているのだと言われても、それはそれ、これはこれである。
「なんで…」
「ね、いいでしょ?」
「ぅ…」
期待に満ちた眼差しを向けられ、断わろうとした言葉を飲み込んでしまった。
こ…こんなキラキラした目で見られたら、断るなんてできっこないじゃない…!
「り、りお…」
断る術はなく、勇気を振り絞って声を出した。