吸って愛して、骨の髄まで

「好きとかそういうのを全部飛び越えて…愛してるんだ、薫子のこと。だから多分、もう一生手放せない。何があっても、必ず僕のものにしてみせるから…覚えておいてね」



もう、理央しか見えなかった。



それはまるで、魔法にかけられたみたいに…理央しか見たくないと、全身が叫んでいるようだった。



「っ…なに、言って…」



「そういうことだから…また明日ね、薫子」



動けなかった私の頬にキスを落として、どこかに消えてしまった理央。



「っ…なんなのよ、もう…」



結局なにも聞くことが出来ず、わからないことだらけのまま帰路についたのだった。





理央があんなこと言ってきたおかげで、昨日は全く眠れなかった。



「愛してる」だとか…簡単に言わないで欲しい。



だって…“愛”は脆いから。



神父の前で、神様の前で愛を誓っても…それは単なる口約束に過ぎない。



約束なんて、破ろうと思えばいくらでも破ることが出来るもの。



私はそれを、誰よりも知ってる。
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