吸って愛して、骨の髄まで
「好きとかそういうのを全部飛び越えて…愛してるんだ、薫子のこと。だから多分、もう一生手放せない。何があっても、必ず僕のものにしてみせるから…覚えておいてね」
もう、理央しか見えなかった。
それはまるで、魔法にかけられたみたいに…理央しか見たくないと、全身が叫んでいるようだった。
「っ…なに、言って…」
「そういうことだから…また明日ね、薫子」
動けなかった私の頬にキスを落として、どこかに消えてしまった理央。
「っ…なんなのよ、もう…」
結局なにも聞くことが出来ず、わからないことだらけのまま帰路についたのだった。
*
理央があんなこと言ってきたおかげで、昨日は全く眠れなかった。
「愛してる」だとか…簡単に言わないで欲しい。
だって…“愛”は脆いから。
神父の前で、神様の前で愛を誓っても…それは単なる口約束に過ぎない。
約束なんて、破ろうと思えばいくらでも破ることが出来るもの。
私はそれを、誰よりも知ってる。