吸って愛して、骨の髄まで
「…それってもしかしなくても…僕のこと、知りたいって思ってくれてるの?」
まさに青天の霹靂、と言わんばかりの顔で聞き返してきた理央。
「っはぁ…?貴方、それ本気で言って…」
「本気で言ってるの?」と言いかけて、口を噤んだ。
「…へへっ、嬉しいなぁ」
私を翻弄してからかう理央でも、猫を被って優等生を演じる理央でもない。
自分に興味を持って貰えて喜ぶような“年相応の男子高校生”が、私の目に映る。
「っ…!」
目尻を下げてはにかむ理央を、とても愛おしく感じてしまって。
…この気持ちは、なんなの?
胸の奥のがきゅんと疼いて、理央を見つめるだけでもドキドキうるさい。
だけど、どこか心地いいと思えるほどに落ち着いている自分もいる。
誰かのことを愛おしいと思ったことは、生まれてこの方一度もない。
まさか、これが…?
私の知らない感情が、芽生える音がした。
自分の中に芽生え始めた気持ちを自覚しそうになったとき、穏やかな理央と目が合った。
胸がぎゅっと締め付けられて、心拍数が上がる感覚。