吸って愛して、骨の髄まで
とにかく今は、私が“いなくなろうとしていた”という事実を消さなくてはならない。
ここで誰かにバレてしまえば、次の計画は難しくなるだろう。
だから、この男には黙っていてもらうしかないのだけれど…。
「嫌だ」
「っ…!」
もう、無理なの…?私はこのまま生きていくしか…。
足の力が抜けて、膝から崩れ落ちそうになったとき。
「…って言うと思った?」
いつの間にか目の前に来ていた彼の手によって、よろめく私は支えられた。
「薫子が良かったら、こうなるまでの話を聞かせてくれないかな?もしかしたら、僕達は良いパートナーになれるかもしれない…そう思うんだ」
「パートナー…?」
私の質問には何も答えず、ただ笑った。
「僕の名前は御影理央。人の血を吸う吸血鬼…そう言ったら、君は笑う?」
───きゅう、けつき…?
「……は?」
彼は何を言っているのかしら…?
あまりにも常識外れな答えが返ってきて、思わず口がぽかんと開いてしまう。