吸って愛して、骨の髄まで

目が本気なのだけど…気のせい、よね?



にっこり口角だけを上げる理央から漂う黒いオーラに見て見ぬふりをして、近くにあったメニュー表を開いた。



私があんなに大袈裟な態度をとってしまったのは、他でもない理央に原因があると言っても過言ではない。



だって…ここに来るまで、恋人繋ぎされてたんだから…!



校門を出て少し歩いた時に自然と繋がれ、周りの目もあるからと断ったにもかかわらず「だめ…?」と目を潤ませながら捨てられた子犬の如くおねだりされて…。



断れるわけが無いじゃない!



あれは流石に卑怯よ…!!



トドメを刺したのはさっきの店員さんによる「カップル限定パフェ」。



手を繋いだまま店に入っていくところを、ガッツリ見られていたのだろう。



年頃の男女が恋人繋ぎをしていたら…思うことはただ一つしかないに決まってる。



私たちの関係に名前を付けるとしたら、それは私が勝手に付けるべきことではない。



でも…勝手に付けられるのはもっと嫌。



…名付け親は、他の誰でもない理央がいい。



じゃないと、私が納得できないもの。
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