吸って愛して、骨の髄まで
口をモゴモゴと動かして、目を逸らしながら答える理央。
そんな彼を真っ直ぐ見据えて、私は大真面目にこう返した。
「好きなものを好きなだけじゃない。それの何がカッコ悪いのよ?」
「え…」
理央は面を食らったような顔をするけれど、構わず続ける。
「誰が何を好きであろうと、その人の勝手でしょう?人に文句を言われる筋合いなんてあるはずないわ」
「…そっ、か。…うん、そうだよね」
そう言う理央はふにゃりと笑い、今日何度目かの笑顔を見せた。
…よかった、届いたようね。
自分なりに精一杯伝えたつもりだったけど、納得してくれた様子の理央を見て安心する。
「理央はトマトジュースでも飲むのかと思ってたから、ある意味驚いたわよ?」
「えぇー?なんでトマトジュース?」
今度は理央の方がハテナを浮かべた。
「だってほら…血っぽいし、好きそうだと思ったっていうか…」
「っふ、ふふっ…薫子ってほんと面白い…っ」