吸って愛して、骨の髄まで
肩を揺らしながら、必死に笑いを堪えようと口元に手を当てているけれど、全然隠しきれていない。
「ちょっと、さっきから笑いすぎよ…!」
そんな面白いことを言ったつもりはサラサラないのに、ここまで笑われるなんて…。
笑う要素なんてどこにあるのかしら?
「ごめんごめん…だって、本当に面白かったんだもん」
理央は目尻に滲んだ涙を拭いながらそう言った。
「理央のツボが浅いの間違いじゃなくて?」
「うーん、それもあるかもだけど…」
「…なに?」
「薫子といるとさ、自然と笑顔になっちゃうんだよ」
「っ…」
不意をつかれるとはまさにこの事。
「僕のどうでもいような悩みをあんな真面目に聞いて、考えてくれて。かと思ったら、血っぽいからって理由で僕がトマトジュース飲みそうとか言い出しちゃうし」
「思い出しただけで笑っちゃう」なんて、呟き笑う。
「ずるいくらいカッコイイのに、薫子の可愛いがそれ以上に上回るんだ」
沈みかけている夕日に照らされた理央が、キラキラ眩しい。