吸って愛して、骨の髄まで
「…薫子のぜんぶが好きだよ。薫子が視聴覚室に出入りしてた頃からずっと…薫子のことが、愛おしい」
時が、止まった気がした。
「…っ嘘。嘘よ、そんな…っ!」
自分でも驚くほど大きな声が店内に響き渡る。
っ…違う、こんなことが言いたいんじゃないのに…。
言いたいこととは違う言葉が勝手に出てきてしまう。
信じたいけれど、信じられない。
「嬉しい」、「私も好き」と心は言うけれど、頭がそれを否定する。
心に思考が追いつかなくて、私は既にショート寸前。
「…嘘って、思いたい?」
「…っ」
理央の顔が歪んで、心臓がぎゅっと苦しくなった。
違う、違うの…私は、ただ──
「理央、私──」
「理央っ!!」
え……?
私以外の可愛らしい声が理央を呼んだ。
気持ちを伝えようと振り絞った勇気は、その声によってどこかへ飛んでいく。
そして、すぐに声の主は現れた。