吸って愛して、骨の髄まで
「あははっ、開いた口が塞がらないって顔してる。まぁ普通はそうだよね〜うんうん」
こっちはこんな驚いているというのに、彼は可笑しそうに笑うだけ。
さっきからずっとそう。
私の反応を面白がっているみたいで、なんだか居心地が悪い。
「僕が吸血鬼だって事は誰にも言ってないよ。だからこのことは、僕と薫子だけのヒミツ。ね、これでフェアでしょ?」
「そういう問題じゃ…」
それに、この人を信頼していいのかも分からないのに事情を話すのはリスクが高すぎる。
話すことを躊躇っていると、彼の顔がすぐ近くにあることに気がついた。
「ならバラしちゃおっかなぁ…薫子の友達や先生たちに。薫子がさっきしようとしていたこと…」
耳元で囁かれたその言葉に、肩がビクッと跳ねる。
「っそ、それは…!」
それだけは絶対、何があってもダメ。
必死になって顔を上げると、自信に満ち溢れた表情とぶつかった。
「それならなおのこと、僕に話すべきだと思うな。僕なら君の…薫子の助けになれるよ」
「っ…」