吸って愛して、骨の髄まで

「余計に心配させてしまったかしら…」



外に出てから後悔する。



それでも、今、無性に伝えたくなったから…それでいいのだと思うことにした。



「薫ちゃんも、すっかり大人になったわねぇ…」



「でもまあ…俺たちにとっては、まだほんの子供だけどな」



「あらやだ、お父さんったら泣いてるの?」



「な、泣いてなんかないさ…!」



「ふふっ、もう〜素直じゃないんだから」



私がいなくなったリビングで、そんな会話が繰り広げられていたことなど知る由もない。





「薫子、ちょっとこっち来て」



「え?翼?ちょっ、引っ張んないで…!!」



教室に着くや否や、制服の袖を引っ張って私を連れ出そうとする翼。



一体なんなの…!?



理由も話さず無言を貫く翼に、戸惑いを隠せない。



学校に来るまでは理央のことで頭がいっぱいだったのに、今はそんなことを考える余裕もなく。



「ねぇ、ちょっと翼…!?いきなりどうしたのよ…!?」



私を見るなり意味のわからない行動をとる親友の方が、何百倍も心配だ。
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