吸って愛して、骨の髄まで

「……」



私があまりにも焦っているからかなんなのかわからないけれど、翼は足を止めてくるりと振り返った。



まじまじと翼を見つめても、一向に表情が変わらない。



強いて言うならば、無である。



「…つ、翼?」



流石に何か言って欲しくて、顔色を伺うように顔を覗き込むと。



「っはあ〜〜〜〜」



これでもかというほどに大きく、長いため息を吐いた。



えっと、それはどういう心情なのかしら…?



とりあえず翼が話し出すまで黙っていると、いつになく真剣な表情で私を見据えた。



「薫子が二日間も寝不足でクマ作ってるとこ、私は見たことないよ」



「っ…!!」



翼が本気で私の心配をしてくれている。



いつもはつっけんどんな態度の翼が、ここまでしてくれている…。



そのことがとても嬉しくもあり、同時にそれだけ心配をかけてしまっているのだと思うと心苦しい。



「別に話したくないなら聞かないし、無理に聞き出そうともしないよ。いつもそうだったしね。それくらいは嫌でも知ってる」



「う…」
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