吸って愛して、骨の髄まで

「それで、御影も薫子のことを好きって言ってる」



「でもあの玲央奈って子が…」



あんな可愛い子がそばにいて、私を選ぶなんて有り得ないと思ってしまう。



「今は御影の言葉を信じるしかないんじゃない?」



「……」



たしかに、翼の言うことはもっとも。



私があの二人の関係を想像したところで、問題解決にはならない。



直接聞いて確かめることが最優先なのかも。



「…そうね、翼の言う通りよ。理央と話し合ってみるわ」



「ん、それがいいと思う」



翼が相槌を打ったところで、ちょうど一限目が終わるチャイムが鳴った。



でも、翼は言い足りなさそうにこちらをじっと見てくる。



…?どうしたのかしら?



「…あと一個、これだけ言わせて」



「え、まだ何か……って痛っ!?」



突如襲った頭の痛みに、思わず声を上げてしまった。



「ちょっと何す──」



翼からげんこつをされたのだと気づき、抗議しようとしたけれど…出来なかった。



翼が目尻に涙を溜めて、唇をきゅっと結んでいたから。
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