吸って愛して、骨の髄まで
この先の不安を感じていた。
そして、玲央奈も無事合格した直後のこと。
自宅療養だと言って学校を休んでいたあの期間が…僕の運命を変えたのだ。
担任以外の教科の先生に呼び出されて学校に行き、よく行っていた今はもう使われていない視聴覚室に立ち寄ろうとして…目を奪われた。
僕より先に視聴覚室へと入っていく黒髪ロングの美少女。
胸が妙にザワついて、血が騒ぐ感覚。
『(…ちょっとだけならいいよね?)』
いけないことだと思いつつ、彼女の動向を伺っていたら…棚から一つの小瓶を取り出した。
恐る恐る蓋を開け、ポケットから白い粉が入った袋をまた取り出してその小瓶の中に移し替える。
『…あともう少しね』
呟き、瓶を元の位置に戻してから視聴覚室を去っていった。
『(あれはなんだったんだろう)』
吸血鬼は人間よりも色々な面で遥かに強いため、多少の毒くらいでは死なない。
疑問に思った僕はさっき彼女が手にしていた小瓶の中身が気になり、迷わずぺろりと舐めた。
『(っ、これは…!)』
白い粉の正体…それは、粉状の睡眠薬だった。