吸って愛して、骨の髄まで
緊張と不安が混ざり合って、自然と手に汗を握ってしまう。
でも…理央の瞳がゆらりと揺れた後、穏やかな笑顔のまま頷いたから。
「…うん、僕も同じこと言おうと思ってた」
昼休みになるまで、異常なほどに冷静でいられた。
*
「…ここ、は」
理央に連れられて来た場所は、まさかの旧・視聴覚室。
昼休みに入ったけれど、ここに来るまでお互い無言だった。
少し冷静だったとはいえ、さすがに告白するとなるとそうもいられない。
じゃあ、理央は?
「…ごめんね。薫子にとっては、嫌な場所かもしれないのに」
申し訳なさそうに眉を下げる理央は、大していつもの変わらない…ように見える。
「でも、ここじゃないとダメだと思ったんだ」
「…どういうこと?」
何となくわかるような、わからないような。
理央の言葉を正確に読み取れなくて聞き返すと、彼は唇をきゅっと結び悲しそうに目を伏せた。
「…ごめん、薫子」
…それは、何のことへの謝罪?
この数分間に立て続けの謝罪をされて、余計な不安が募る。
でも、それは杞憂だったらしい。