吸って愛して、骨の髄まで

緊張と不安が混ざり合って、自然と手に汗を握ってしまう。



でも…理央の瞳がゆらりと揺れた後、穏やかな笑顔のまま頷いたから。



「…うん、僕も同じこと言おうと思ってた」



昼休みになるまで、異常なほどに冷静でいられた。





「…ここ、は」



理央に連れられて来た場所は、まさかの旧・視聴覚室。



昼休みに入ったけれど、ここに来るまでお互い無言だった。



少し冷静だったとはいえ、さすがに告白するとなるとそうもいられない。



じゃあ、理央は?



「…ごめんね。薫子にとっては、嫌な場所かもしれないのに」



申し訳なさそうに眉を下げる理央は、大していつもの変わらない…ように見える。



「でも、ここじゃないとダメだと思ったんだ」



「…どういうこと?」



何となくわかるような、わからないような。



理央の言葉を正確に読み取れなくて聞き返すと、彼は唇をきゅっと結び悲しそうに目を伏せた。



「…ごめん、薫子」



…それは、何のことへの謝罪?



この数分間に立て続けの謝罪をされて、余計な不安が募る。



でも、それは杞憂だったらしい。
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