吸って愛して、骨の髄まで

「吸血鬼の契約なんてものは存在ないんだ。…僕が勝手に作り出した、嘘話だよ」



私の頭は思考を停止してしまったのだろう。



「え…、?で、でも理央が吸血して…」



困惑だらけでちっとも働かない。



「…少し長くなるけど、全部話させて。もう、嘘はつきたくないから」



真剣な顔をする理央の話を、とりあえず聞くことにした。



そして、全て聞き終わる頃には…。



「これでわかってくれた…?薫子を知っていた理由も、玲央奈のことも…僕のことも」



「……わ、かった…わ」



「…ごめん、ちょっと一気に話しすぎたかも」



情報過多で脳が処理できず、ヒート寸前だった。



「つまり…理央は私の計画をずっと前から知っていて、玲央奈さんとは従姉妹で…」



「薫子のことしか眼中にないってこと」



「っ…!!」



理央の口から出てきたその言葉はあまりにも唐突すぎて。



ま、まだ心の準備が出来てないのにっ…って、あら?



私、なんて理央に言おうとして…。



言おうとしていたことが一気に吹っ飛んでいき、頭が真っ白になる。
< 60 / 64 >

この作品をシェア

pagetop