吸って愛して、骨の髄まで

それを扉の隙間から除く小さな私。



自分が望まれた子ではなかったということを、その時に知った。



そして悟った。



あぁ、この二人は私を愛していないのだ…と。



育児休業を終えて会社に復帰しても、母は以前のように働くことが出来なくなり、父はそんな母を激しく責めた。



今思えば、母よりも父の方に原因があったのだろう。



やがて母はホストに逃げて貢ぎまくり、父は父で外に女を作った。



家庭は徐々に崩壊していき、私が幼稚園に通っている頃。



『薫子ちゃんのお母さんとお父さんが事故にあったって…』



青ざめた先生の顔もきっと忘れられない。



その時の私の心情も、忘れてなどいない。



(お母さんとお父さん、死んじゃったんだ…でも…なんでだろう?ぜんぜん悲しくないな)



家庭が壊れて行くにつれて、私の中の親という存在すらもが崩れていたの。



それから私は地元を離れ、母の遠い親戚の家に預けられた。
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