鬼社長の迸る視線に今夜も甘く絆される
*
パーティー形式の新作ショーは終わり、歓談の時間になった。
伊織は知人に挨拶回りをしながら、栞那を紹介する。
栞那の気持ちが後戻りできないように。
十和子のように、しつこい相手に印籠を渡す意味でも。
「いっくん、……妻だなんて言ってよかったの?」
「問題ない。ってか、プロポーズ承諾したよな?今さらアレはなしとか言うなよ?」
「っ……言わないよ。けど、こんな風に公にして良かったのかな?とか心配になるじゃない」
「それは大丈夫。今日はシークレットショーだし、オフレコのようなものだから」
「それならいいんだけど」
「そう遠くないうちに結婚するんだから、別にいいだろ」
悪びれる様子もなく、しれっと言い切る伊織。
もう騙さないと約束した傍からこれだ。
「社長」
「もうそんな時間か?」
「はい」
伊織と栞那の傍にいた秘書の三井が声をかけて来た。
「栞那、これから十分ほどの取材を受けることになってて」
「取材?」
「あぁ。少しの間、三井と一緒にいてくれ」
「ん、分かった」
「三井、栞那のこと頼むな」
「はい、承知しました」
伊織は指定された個室へと向かって行った。
「何か、お取りしましょうか?」
「いえ、大丈夫です」
三井が気を利かせて、食事ではなくソフトドリンクを栞那に差し出す。
「彼はこういう席もよくあるんですか?」
「……はい、ございます。あまりお好きではないようですが、付き合いも必要不可欠ですので」
「そうですよね」
「成海さんは、社長のどこに惹かれたんですか?」
「直球ですね」
「これは、失礼致しました」
「別にいいんですけど」
パーティー形式の新作ショーは終わり、歓談の時間になった。
伊織は知人に挨拶回りをしながら、栞那を紹介する。
栞那の気持ちが後戻りできないように。
十和子のように、しつこい相手に印籠を渡す意味でも。
「いっくん、……妻だなんて言ってよかったの?」
「問題ない。ってか、プロポーズ承諾したよな?今さらアレはなしとか言うなよ?」
「っ……言わないよ。けど、こんな風に公にして良かったのかな?とか心配になるじゃない」
「それは大丈夫。今日はシークレットショーだし、オフレコのようなものだから」
「それならいいんだけど」
「そう遠くないうちに結婚するんだから、別にいいだろ」
悪びれる様子もなく、しれっと言い切る伊織。
もう騙さないと約束した傍からこれだ。
「社長」
「もうそんな時間か?」
「はい」
伊織と栞那の傍にいた秘書の三井が声をかけて来た。
「栞那、これから十分ほどの取材を受けることになってて」
「取材?」
「あぁ。少しの間、三井と一緒にいてくれ」
「ん、分かった」
「三井、栞那のこと頼むな」
「はい、承知しました」
伊織は指定された個室へと向かって行った。
「何か、お取りしましょうか?」
「いえ、大丈夫です」
三井が気を利かせて、食事ではなくソフトドリンクを栞那に差し出す。
「彼はこういう席もよくあるんですか?」
「……はい、ございます。あまりお好きではないようですが、付き合いも必要不可欠ですので」
「そうですよね」
「成海さんは、社長のどこに惹かれたんですか?」
「直球ですね」
「これは、失礼致しました」
「別にいいんですけど」