鬼社長の迸る視線に今夜も甘く絆される
*
無事に区役所に婚姻届を提出して、栞那を俺の自宅に漸く捕獲できた。
もう二度と手放せない。
「お義母さん、何だって?」
「おめでとう、だって」
婚姻届を提出したことを母親に報告した栞那。
父親からはメールで報告してくれればいいと言われているようで、区役所から俺の自宅に向かうタクシー内でメールをしたようだ。
「お風呂は?」
「いっくん待ってる間に済ませてある」
「じゃあ、シャワー浴びて来ていい?」
「うん、いいよ~」
仕事着のまま彼女の自宅へと急いだから、漸く一息つけそうだ。
*
シャワーを浴び終え、書斎に籠る。
「俺としたことが……。いや、俺らしいか」
書斎の机の引き出しを開けて、溜息と共に無意識に声が漏れ出ていた。
「よし、グダグダ言っても仕方ないし、栞那なら笑って流してくれるか」
手のひらで頬をパシッと叩き、気合を入れる。
「栞那」
リビングでノートパソコンに向かっている彼女の傍に。
隙あらば、いつでもパソコンに向かっている彼女を見据え、静かに腰を下ろした。
「ちょっと待ってね」
カタカタとリビングに鳴り響くタイピング音。
さすがと言うべきか、恐ろしいほどに早くて、しかもリズミカルな気もする。
あぁ、そうだよな。
好きなことをしてるんだから、楽しいに決まってる。
彼女の楽しみを中断させるのは違うか。
「急ぎじゃないから、ゆっくりでいいよ」
「……ごめんね」
モニターを見つめたまま、声だけが返って来た。
そして、数分後。
漸く手を止めた彼女が、パタンとパソコンを閉じて、俺の方に向き直った。
「ん?」
無事に区役所に婚姻届を提出して、栞那を俺の自宅に漸く捕獲できた。
もう二度と手放せない。
「お義母さん、何だって?」
「おめでとう、だって」
婚姻届を提出したことを母親に報告した栞那。
父親からはメールで報告してくれればいいと言われているようで、区役所から俺の自宅に向かうタクシー内でメールをしたようだ。
「お風呂は?」
「いっくん待ってる間に済ませてある」
「じゃあ、シャワー浴びて来ていい?」
「うん、いいよ~」
仕事着のまま彼女の自宅へと急いだから、漸く一息つけそうだ。
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シャワーを浴び終え、書斎に籠る。
「俺としたことが……。いや、俺らしいか」
書斎の机の引き出しを開けて、溜息と共に無意識に声が漏れ出ていた。
「よし、グダグダ言っても仕方ないし、栞那なら笑って流してくれるか」
手のひらで頬をパシッと叩き、気合を入れる。
「栞那」
リビングでノートパソコンに向かっている彼女の傍に。
隙あらば、いつでもパソコンに向かっている彼女を見据え、静かに腰を下ろした。
「ちょっと待ってね」
カタカタとリビングに鳴り響くタイピング音。
さすがと言うべきか、恐ろしいほどに早くて、しかもリズミカルな気もする。
あぁ、そうだよな。
好きなことをしてるんだから、楽しいに決まってる。
彼女の楽しみを中断させるのは違うか。
「急ぎじゃないから、ゆっくりでいいよ」
「……ごめんね」
モニターを見つめたまま、声だけが返って来た。
そして、数分後。
漸く手を止めた彼女が、パタンとパソコンを閉じて、俺の方に向き直った。
「ん?」