鬼社長の迸る視線に今夜も甘く絆される

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「成海さん、急がせて申し訳ない」
「いえ、……これ、抽出するの明日まででいいですか？」
「え、そんなにすぐに出せるものなの？」
「一通りの解析ツールは組み込んであるので、回収作業とそれを報告書に纏める時間があれば…」
「いやぁ、ホント助かるよ。以前の外注SEなら、数日はないと出して貰えなかったから」
「そうなんですね」

宣伝営業部から『アクセスログ』のデータ報告が欲しいと急ぎの依頼を受けた。
営業部の課長・木川田(きかわだ) 剛(つよし) 三十三歳は、気性の荒い女性営業部集団の中では珍しい大人しめ無害生物のような人で、希少価値のある男性社員。
中性的な顔立ちで、物腰も柔らかい。
社内の評判もよく、かなり人気がある。

システム部は男性比率が高めだが、Bellissimoは女性社員八割の会社だ。
その会社で、久宝社長は国宝級の別格のイケメン度を誇っている。

アクセスログは、誰が、いつ、どのページをどくれくらい閲覧していたのか。
またどのページで去ったのか。
時間計、日計、週計、月計などを分析するもので、利用者数も含め詳しく纏めたもの。
通常であれば、取り扱い商品数が多いBellissimoでは三、四日かかる作業だ。

「そう言えば、成海さんは今の部署になってまだ二か月ほどですよね？」
「……はい」
「良かったら、撮影現場見に来ませんか？」
「へ？」
「以前契約してた外注のシステム業者さんはイメージ把握が必要だとかで、頻繁に現場にいらしてましたよ？」
「そうなんですか？……それって、私だけじゃなくて、うちの部署の子達も見学できたりします？」
「はい、もちろん。良かったら、是非。後で撮影日のスケジュールを送りますね」
「あ、はい。ありがとうございます」