鬼社長の迸る視線に今夜も甘く絆される
ランジェリーブランドと言っても下着だけではなく、ルームウェアのようなパジャマ的な物まで取り扱っていて、スチール撮影といってもかなり大規模な感じだ。
一番端にあるベビー用品のブースで、可愛らしい赤ちゃんモデルに癒される。
「やっぱり赤ちゃんは天使ですね」
「はい、見てるだけで幸せになれますよね」
木川田さんと微笑み合う。
「部長、すみません。同期の子がいるので、声掛けて来ますっ!」
「ん、いってらっしゃい」
近藤さんが木川田さんに会釈し、少し離れた場所にいる社員に声をかけに行った。
「課長、来週の撮影なんですけど…」
「おっ、どうした?」
宣伝営業部の若い子が木川田さんに声をかけて来た。
「私達、適当に見て廻りますので」
「あっ、すみません」
「いえいえ、お時間取らせてすみません。ありがとうございました」
木川田さんに会釈し、国分さんと他のブースへと廻ろうとした、その時。
「部長、外で煙草吸って来ます」
「あ、はい。ごゆっくり~」
国分さんはヘビースモーカー。
この業種の人は一日中パソコンに張り付くことも多くて、喫煙者も多い。
一人気ままにブースを見て廻っていた、その時。
美男美女が見つめ合っているのを視界に捉えた。
すらりとした女性が俯き加減で恥じらう素振りを見せると、男性がその女性の髪を優しく耳にかけ、ずれかかっている肩紐をそっと元に戻す。
周りにいるスタッフは見て見ぬふりというのか、あえて視線を外している感じで。
公然の恋人、といった雰囲気だ。
その美男美女こそ、人気モデルのYu@と久宝社長だ。