鬼社長の迸る視線に今夜も甘く絆される
ニ、三日に一回は顔を見ていた社長が不在になって早二週間。
最初の数日は夜にメールが送られて来たりもしたが、次第にそれも無くなり、超多忙だということを改めて思い知る。
忙しい時間を縫って、食事に誘ったり部署に差し入れてくれていたのだと。
秘書課からの依頼案件を処理し、確認して貰うために栞那は秘書課を訪れた。
「わぁっ、本当に見やすくなったわ!」
「ここに新しい機能のタブを追加しておきましたので、ここから管理できます」
「凄~い!」
「それから、過去のスケジュールのデータから季節性のあるものなどを予測し、赤ポチ(赤丸)でお知らせする機能も組み込んでおきました。お役に立てばいいんですけど…」
「えぇーっ、そんな機能とかも増やせるんですか?」
「あ、はい。少し時間頂ければ、できるだけご意向に沿った状態に近づけるのは可能かと。全てが完璧で何でも可能なわけではないですが、何かご希望があるのであれば、依頼書に詳細を記して頂ければ検討しますので」
「本当に凄いの一言です!さすが、社長のお眼鏡に叶った人材の方ですね。以前のシステム業者なら、こんな風に自らプログラミングすることなんて一度たりとも無かったですから」
「そうなんですか?」
「はい、仕事も結構雑でしたし、社長の鬼雷がしょっちゅう落ちてましたよ」
「そ、それは……嫌かも」
秘書の提箸 京子 三十五歳は、嬉しそうにマウスを動かし始めた。
「あ、そうだ。これ、三井さんから送られて来たものなんですけど、この動画をこの管理機能の中に…―…」
提箸さんのスマホに映し出された映像はパーティーのような会場で、社長が海外の美女の腰に手を回し、親しげに話してる姿だった。