鬼社長の迸る視線に今夜も甘く絆される

「何て言ったらいいのかな。……少しは恋愛に発展するのかな~?って思える雰囲気だったけど、最近音信不通なんだよね」
「はい?……社長って、そーいうタイプなのっ?!」
「そーいうって?」

ちょっぴりがっかりしたような表情を覗かせ、ビールをグビグビと煽る彼女。
唐揚げをパクっと口に放り込み、少し考え込み始めた。

「仕事が忙しいのは仕方ないですよね。取り扱う部門も多いですし、経営者ってだけでも忙しいだろうに、メインデザイナーとしても多忙な方ですし」
「……ん」
「うちの部署に来た時は、部長しか視界に入ってないんじゃないかってくらい熱い視線送ってたから、てっきりもっとグイグイ来る人かと思ってたんですけど。意外とあっさりな方なんですね」
「……そうなのかな」

国分さん、結構鋭いところを突いてくる。
やっぱり沢山の男性を見てるだけのことはあるなぁ。
私とは違って、経験値が高い。

「国分さんのボーイフレンドって、どういう人たちなの?」
「ん~、そうですね、……素直な人ですかね」
「え?……経験が豊富とかじゃなくて?」
「あー、そういうのは無いよりあった方がいいですけど、でも結局の所はお互いに肌を合わせるわけだから、何も身に纏わずにいられる相手じゃなきゃダメだと思うんですよ。例え体だけの関係であっても、体って正直ですし、嘘で塗り固められた関係って、結局は長続きしないから」
「……なるほど」
「だから、体の相性云々の前に、人として好意が持てる相手が前提で会うわけで。だから、私は嘘を吐かない人じゃないとダメなんです。上手くなくても私が開発しますし、そこら辺は後からついて来るものもあるので」
「っっ……」

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