クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
「初めまして。今日は私達のためにありがとうございます」
「お招きいただいて、嬉しいわ。懐かしい顔ぶれも多くて」
「嬉しいです。西田さん達先輩の方々が作り上げた事務所ですから」
「楽しかったわ。でも、とても忙しくなって、広大君のお母さんは・・・」
「色々、あったんですね」
「碧さん、実は私、広大君のお母さんとは、連絡取ってたまに会ってるの」
「そうなんですか・・・お元気ですか?」
「えぇ。次の日曜日に、こっちに来るんだけど、もし広大君が許してくれるなら、ひと目でも会いに来てくれないかしら」
「・・・かなり難しいかも知れません」
「そうよね・・・でもね、ずっと心配してたのよ。自分が苦しめたって」
「話はしてみますが・・・」
「じゃあ、私の連絡先、教えるから、気が変わったら連絡してね」

どうしよう。きっとあれだけ憎んでるから、行かないと思うけど・・・
そうだ・・・明日、病院に行ってから・・・
その結果によっては、会うかも知れない。

次の日、他の職員は新しいビルで仕事をしてもらい、お父さんと広大さんと3人で、昨日の部屋の片付けをした。
「すまないね、碧さん。2人のお祝いなのに、私達が楽しんだよ」
「いえ、とても楽しかったです」
「碧。悪いけど、午後から俺と父さんと出掛けるから、無理しない程度に片付けて。出来なかったら俺がするから」
「もう少しだから大丈夫です。今日は片付けたら、帰りますね」
「あぁ、じゃあ、行って来るから」
「はい、いってらっしゃい」
私は2人を見送り、片付けが終わると、その足で、産婦人科へと向かった。
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