クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
夜になり、広大さんはソファでくつろいでいた。
「広大さん、聞いて欲しいことがあって」
「うん。どうした?」
「西田さんとお話したんですけど」
「あぁ、昔から可愛がってくれた人だよ」
「お母さんと今でもお付き合いがあって、今度の日曜日にこっちに来るから、会わないかって」

広大さんの顔付きが、一気に変わった。
「碧も俺を見てきて、よく分かってるだろ。会わないよ」
顔をそむけた広大さんの隣に座り、手を取った。
「もう1つ、聞いて欲しいことがあるんです」
「次は何?」
少し怒ったような目をしている広大さんの手を、私のお腹に当てた。
「2人の幸せがまた運ばれました」
「えっ・・・」
「もしかしてと思って、病院に行ったんです。6週目みたいです」

広大さんはしばらく呆然としていた。
「広大さん、パパになるの、嫌ですか?」
当然に喜んでくれると思ったけど、広大さんの反応に心配になった。
「いや、そうじゃなくて」
私を抱きしめ、背中に回った手は、少しずつ力強くなった。
「俺が父親になるなんて・・・信じられなくて」
「私、赤ちゃんがお腹にいるって聞いた時、凄く嬉しかったんです」
「俺もだよ」
「きっと、広大さんのお母さんも、同じ気持ちだったと思います」
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