クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
【クールな上司に恋をする】
私、笠間 碧(かさま あおい)24歳は、大学卒業後、上場会社で薬品メーカー『(株)武郷化学薬品』の経理課に配属されて、1年が過ぎた。

「おはよう、笠間さん。今日も暑いよねぇ。暑さで脂肪、溶けて欲しいよ。」
「おはようございます、北川さん。そ、それはちょっと」
北川さんは、2歳年上の先輩。
私の指導係で、面倒見がよく、とても気さくで大好きな先輩。

「おはようございます」
次に挨拶を交わしたのは、経理課長の時東 広大(ときとう こうだい)さん。
鼻筋が通った顔立ち、奥二重の涼しげな目元。
少し長めの前髪を、時々かき上げる姿にドキッとする。
背が高く、知性溢れる空気を醸し出す。
29歳だけど、凄く落ち着いている。
『冷静沈着な人』という言葉は、時東さんにぴったり。

女性社員は、皆憧れる存在。
「経理部はいいよねぇ。私も経理部がいいなぁ」
他部署の女性社員の先輩が、経理部にたまに来ると愚痴っていく。

外見だけじゃない。
実家が税理士事務所で、所長の息子。
大学で試験勉強しながら、実家で税理士補助のアルバイトをして、税理士試験に合格。
税理士資格を持ちながら、中途採用で一般企業に勤めている。
これは、北川さん情報。恐るべし、北川ネットワーク。
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