クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出

やっぱり武郷さんが言ってたことは本当だ。
「そ、そうですか。では、誤解されるといけませんので、私はこれで･･･」
「誤解されてもいいけど。彼女とは何も無いからね」
「でも、ご本人も･･･」
しまった！つい口走っちゃった。
「何か言われたのか？」
「えぇっと･･･」
「言ってくれ。笠間さんが困るような事はしないから」

どうしよう･･･
言わないように釘を刺されてたけど･･･
「俺を信じるか、武郷さんを信じるか、どっちだ？」
真剣な眼差しに、私の正直な気持ちに従った。

「時東さんとお付き合いされていて･･･深い仲だと。先日は、会議室で、キス･･･したとか」
時東さんは、呆れた顔をして、ため息をついた。
「はぁ･･･噂では聞いてたけど、俺と付き合ってるって、本人が言ってたってことか。事実じゃ無いから、無視していたんだがな。まさか、笠間さんにそこまで嘘をつくとは」
「嘘？」
「親はそうなったらいいとは話をしてるが、あくまでも、仕事上の付き合いだけさ」
「そう、でしたか･･･」

良かった･･･私が時東さんと付き合えるとは思ってないけど、彼女が武郷さんみたいな人なら諦めようにも、諦められない。
「さぁ、ご飯食べたら、薬飲んで、ゆっくりしろよ」
「はい。ありがとうございます」