クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
仕事は何でもこなし、役員や他の部署の人達から信頼を得て、カリスマ的存在。
経理部長ですら「時東くん、これどうしたらいい?」そんな有り様だし・・・

夏が過ぎると、9月末決算の我が社は、いよいよ本決算を迎える。
「北川さん、いよいよ本決算ですよ。私、去年は何も出来なかったので緊張します」
「また来るねぇ、あの日々が・・・」
北川さんは、ため息交じりで返事をした。

去年は、先輩の補助だけで、あっという間に過ぎていった。
淡々と課員に指示をして、他部署の部長と調整し、会計士や税理士と話をしていた時東さん。
会話の意味は分からなかったけど、物怖じせず対応する姿。
『困った時の時東さん』なんて言う人もいるけど、何でも解決してくれるから、納得がいく。
頼りがいがある人って、時東さんみたいな人のこと、言うんだろうなぁ。

「あっ、笠間さん。予約してた決算セミナー、今週金曜日だから、忘れないでね」
「はい、宜しくお願いします」
決算セミナーに行くのは初めて。
話を聞いて分かるかなぁ。
それでなくても覚える事がまだまだあるのに、会計や税制の改正とか言われても、全然追いつかない。
おまけに、システム変更もあるしで、あっという間に時間が過ぎていく。
毎日、目が回りそう。
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