クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
しばらくして、マンションに着き、言葉を交わす事無く、私の肩を抱き寄せ歩く。
玄関に入り、ドアが閉まった瞬間、私は時東さんに抱き寄せられ、熱いキスを受け入れた。

どうやって息をしたらいいの・・・
「碧・・・」
耳元で碧と呼ばれ、ジーンと痺れるように体に響く。
「次は逃げるなよ」
ゆっくりと舌を絡み取られるキスを、必死に受け入れる。
しばらくして、唇が離れると、放心状態に陥っていた。

「俺に火をつけたこと、今なら引き戻せるぞ」
獲物を捕らえるような目に見つめられ、その答えが口に出せない。
「もう一度だけ聞くぞ。俺でいいんだな」
私は静かに頷いた。
時東さんに手を引かれ、ベッドに腰掛ける。
「初恋と同じように、俺が碧の初めても貰うよ」
「はい・・・」

長い時を経て、カキツバタが繋いだ時東さんと私。
愛おしむようなキスを受けながら、ヘアクリップが外され、少しずつ肌がさらされる。
そして、時東さんの逞しい体の温もりを感じながら、心も体も優しく解きほぐされた。

「碧・・・力を抜いて。碧の痛みを俺にも分けて」
私の右手を、時東さんの左手は指を絡め繋ぎ、優しい口づけが続く。
そして、ゆっくりと時東さんを受け入れて・・・
私が握る手に時東さんは応え、痛みさえも嬉しい。
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