クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
「人を愛せなかった広大が、人を愛することを選んだんだ。碧さんは、素敵な人なんだよ。あっ、広大には内緒ね」
「は、はいっ」
そんな風には感じないけど・・・
まだまだ、私は広大さんの事を知らない。
もっと、広大さんの事を知りたい。

時々、広大さんのお手伝いをして、あとは本を読んで時間を過ごした。
「碧、終わったから、そろそろ帰ろうか。父さん、俺達帰るから」
「ありがとう、助かったよ」

お父さんは車まで、2人を見送りに来てくれた。
「そうだ広大。こっちに戻ってくる件、もうそろそろどうだ?」
「わがまま言ってすまないと思ってる。もう少し待ってくれ」
「あぁ、分かったよ」
「明日は昼から来るよ」
「いつもすまないね。碧さんもまたいらっしゃい」
「はいっ」
2人は事務所を後にして、車に乗り込んだ。

「あの・・・こっちに戻って来る件て・・・」
しばらく広大さんは黙っていた。
「すみません。余計なこと、口を挟んでしまって」
「いや、いずれは分かることだけど、今度ゆっくり説明するよ」
それからは、そのことには触れず、買い物に行って、家に戻った。
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