クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
そして知った武郷さんの話。
「時東さん。話があるんだけど、会議室でいいかしら?」
今日で終わらせるか。

「何ですか、話って」
「ねぇ、どこか2人で行かない?うちの父と広大のお父さんが言ってたこと、そろそろ実現しましょうよ」
「その話ですが、丁度今日、私も社長とお話しました」
「えっ?じゃあ」
「社長と父が談話していた事ですが、私が武郷さんと付き合うとか結婚するとか、そういう感情は全くありませんと」
「えっ・・・」
「社長は、そんな事言ってたか?って。覚えてもいませんでしたよ」
「そんな・・・」
「そういう事ですから。社長と父は友人かもしれませんが、私とあなたは、ただの同僚です」
「わ、分かったわよ。もういいわ。私に寄ってくる男なんて、沢山いるんだから」
眉をひそめて、顔を歪ませた武郷さんは、そそくさと、会議室を出て行った。
これでもう、笠間さんには迷惑を掛けないだろう。

数日経って、廊下で会った笠間さんが、周りに人がいないのを確認して、
「最近、武郷さんが私を見ても知らん顔するんですけど・・・」
と声を掛けてきた。
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