クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
私は、広大さんが許してくれるとは思わず、ホッとした。
確か、営業課の人達って言ってたから、女性社員もいるし、広大さんが心配するほどでも無い。

金曜日の夜、北川さんと一緒に居酒屋さんに向かった。
「北川さん、こっちこっち!」
営業課の人が2人で座っている。
4人掛けのテーブル。前後、左右も席は空いてないけど。
「あれっ?他の人は?」
「あぁ、皆来れないって。俺達だけ」
「えー、残念。でも、まぁ、せっかくだし、4人で楽しみましょう!」
北川さんは、いつもの明るさで、場を仕切っていた。同期がいない私は、今までで、同年代の人達と話することが無かったから、弾む会話を聞いて楽しんでいた。

「笠間さんは、おとなしいんだね」
「すみません。あまり話題も無いし、こういう場に慣れてなくて・・・」
「いいよいいよ。そんな可愛らしさも、また魅力だからね」
「ちょっと!しゃべる私はどうなのよ」
「もちろん、楽しくて魅力的だよ」
「そうでしょ!」
私は会話を楽しみながら、ジュースを飲んでいた。

「お客様。2時間なので、ラストオーダーになります」
定員さんに声を掛けられ、
「じゃあ、俺が適当に頼むから」
店員さんにメニューを指差しながら、営業課の人が注文した。

目の前に置かれたジュースを飲むと、あれっ?これ、お酒だ・・・
ラストオーダーだったし、みんな楽しそうに話してるし・・・
場のムードを壊さないようにしないと・・・
少し濃いお酒だなぁ・・・
飲んでいると、熱くなりふわっとしてきた。でも、これくらいなら大丈夫か。
3人が楽しそうに話すのを聞きながら、そのまま飲み干した。
「そろそろ時間だな」「じゃあ、出ようか」4人は店を出て、駅に着いた。
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