クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
「あの、広大さん・・・」
私が腕を握ると、広大さんは私の目を見据えた。
「抱いて欲しい・・・か?」
私が見つめて頷くと、しばらく黙っていた広大さんは、
「他の男と飲んだのはまだいいとして、酔って肩を抱かれて・・・他の男に酔わされた碧を抱くつもりはない」
私が掴む手を、腕から離した。
「油断するなって言っただろ」
そして私を見る事無く、寝室から出て行った。

あのまま広大さんが来なければ・・・
お酒と分かった時、何故止めなかったんだろう。
後悔とそして、広大さんに手を離された寂しさで、溢れ出した涙は、しばらく止まらなかった。

目が覚めたのは夜中の3時。
あのまま泣きながら眠ってしまったんだ。枕が濡れている。
あれっ。布団が掛かっている。枕元には水が置かれていた。
広大さん・・・

静かにドアを開けると、暗がりにカーテンからの月明かりで、広大さんがソファに寝てるのが見えた。
私が逆の立場なら、きっと嫉妬していた。明日謝らないと。
私は、水を飲んでもう一度ベッドに戻り、眠りについた時は、もう外が明るくなっていた。
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