クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
明くる日、目が覚めると、広大さんがベッドに腰かけて、頭を撫でていた。
「頭は痛くないか?」
昨日の冷たい目ではなく、いつもの優しい目の広大さん。
「もう大丈夫です。あの・・・」
「今日は、夕方から出掛けようか」

昨日の事には触れず、怒ってる様子もなく、掛けられた言葉にびっくりした。
「事務所には行かなくていいんですか?」
「あぁ、今日はリモートで出来る事するよ。シャワー浴びておいで」
時計を見ると、もう10時だった。
「すみません、こんな時間まで。シャワーお借りします」
私は慌てて、シャワーを浴びに行った。

テーブルには食事が用意されていて、2人で食べていると、
「碧は俺と、何処に行きたい?」
突然、広大さんから言われた言葉に呆然としていた。
「どうかした?」
「いいんですか?誰かに見られたら」
「夕方からだから、会う確率は少ないだろう。どこでも良いよ」
「そうですね・・・私、彼氏が出来たら、観覧車に乗りたかったんですけど、嫌ですよね、遊園地・・・」
「嫌というか、俺、遊園地って行った事無いんだよね」
「えっ!」
「両親は忙しかったし、友達に誘われたけど、俺は行かなかったんだ。皆ではしゃぐのも苦手でさ」
「彼女さん、とかもですか?」
「あぁ、誘われたけど、行かなかった」
「そ、そうなんですね。いいんですか?遊園地でも」
「あぁ、いいよ」
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