クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
広大さんが今まで彼女と行った事が無いって事は・・・
私が初めての相手なんだ・・・私ばっかりが初めてだったから嬉しい!
2人で出掛ける嬉しさで、昨日の事は忘れて、舞い上がってしまった。

「碧、それまで手伝ってくれる?」
PCと繋がっているモニタを私に向けて、
「俺が読み上げる科目と数字が、モニタに写っているのと合ってるか、確認して」
「何だか、責任重大で緊張しますね」
「最終は紙ベースで再確認するよ。だから心配しないで」

2人で一緒に仕事をする楽しさ。
会社では、こんな風には出来ない。
何件も、同じ作業をして、あっという間に時間は過ぎていった。
「終わると思わなかったから、助かったよ」
「楽しかったです。こんな風に仕事が出来て」
「それなら良かった。片付けたら、そろそろ行こうか」

大好きな広大さんと遊園地なんて。
もう薄暗くなり、ライトアップされ、子供の時に行った遊園地は、デートスポットへと変わる。
「やっぱり寒いな」
私の手を取り、自分のコートのポケットに入れる広大さん。
何食わぬ顔して、真顔で歩いている。
もう、どうしてそんな顔して、私をドキドキさせるんですか!

「暗くなる前に、あれ乗ろうか?」
広大さんが指差したのは、絶叫マシンだった。
「あ、あれですか・・・」
私は絶叫系が嫌いだけど、自分から誘って乗らない訳にはいかない、よね。
絶叫マシンで、私はずっと叫んでいた。
「ずっと下向いて叫んでたな」
私の肩を抱きながら楽しそうに笑う広大さん。

「あっ、あれも行ってみたい」
次に広大さんが指差したのは、お化け屋敷。
どうして、私が苦手なものばかり、チョイスするんですか・・・
「キャーッ」
中に入ると聞こえてくる悲鳴も怖い。
「行くぞ」
< 52 / 115 >

この作品をシェア

pagetop