クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
2人は手を繋ぎ、前に進む。
もう、私はずっと叫びっぱなしで、出た時は声が枯れていた。
「碧の叫ぶ声で、耳が痛い」
「だって」
「ほんと可愛いな」
満面な笑みの広大さん。その笑顔、ズルいですよ・・・

夜の遊園地を満喫しながら、最後に観覧車に乗った。
「綺麗だな」
隣に座る広大さんは、外を眺めていた。
「そうですね・・・」
ずっと憧れていた彼氏と乗る観覧車。
もう少しで頂上に着く。

「広大さん、写真撮っていいですか?」
「あぁ」
私が携帯を出すと、広大さんが持って、2人は寄り添い、写真を撮った。
「ありがとうございます。広大さんにも送りますね」
私が広大さんの携帯に送ると、その写真を眺めていた。

「碧。観覧車に彼氏と乗りたかったんだろ?」
「はい、夢が叶いました」
「他に何か、お願いしたいことあったんじゃないの?」
「えっと・・・」
「もう頂上だぞ」
「あの・・・」
キスしてください。ただそう言うだけなのに。

「悪い。こういうことは、男の俺からしないとな」
そっと私の頬に手を添えて、
「碧。愛してる」
優しさに溢れる目に見つめられ、近づく唇。
頂上に着いた観覧車の中で、2人は静かにキスをした。
唇が離れると、私をそっと抱きしめる広大さん。
「もう、俺から離れられないぞ」
「絶対に離れません」
顔を埋めて抱きつく私を、力強く抱きしめてくれた。
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