クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
激しく突き動かされ、焦らされた私は、体の芯から沸き起こる幸せが、体中を包み込んだ。
「碧を啼かせるのは俺だけだ」
広大さんに乱され、溺れゆく夜を過ごした。

そして月曜日のランチの時間。
「これ、実家に帰った時に、お母さんが笠間さんにもって。美味しいから食べて」
「ありがとうございます!これ、結構有名ですよね」
「そうなんだよね。でも、私はスーパーで売ってる大量チョコも好き」
高級なチョコなのに、可愛そうな北川さんのお母さん。
「そうそう、営業課の人が謝ってたよ」
「私も悪いですから。もう、お酒は飲まないと決めたんで」
「時東さんが来てくれて良かったよ。ちょっと怒ってたね。時東さん」
「そ、そうですね」
広大さんを嫉妬させるとどうなるか、体でしっかり覚えましたから・・・

そうだ!来週のバレンタインは平日だから、今週の金曜日、少し早めのチョコ持って行こう。
私は金曜日、少し早めに会社を出て、広大さんが好きそうなビターのチョコを買って家に向かった。
スペアキーで鍵を開けると、シャワーを浴びた広大さんが頭を拭いていた。

「今日は早かったですね」
「あぁ、早く碧に会いたくて。その荷物、どこか寄ってたの?」
「はい、食材とあと、来週バレンタインなので、少し早いですがチョコと」
「チョコか・・・」
「嫌い、でしたか?」
「好んで食べないけど、碧から貰ったチョコは食べるよ」
私の荷物を持って、
「先にシャワー浴びておいで」
頭を拭いて、無造作の髪型で近寄られると、色気が増して、いつ見てもドキドキする。
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