クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出

広大さんが事務所に戻って来て、
「皆さん、ご心配をお掛けしました。父から、申し訳ありませんと、宜しくお願いしますと伝言を受けました」
皆を見渡した後、頭を下げていた。
「広大君。心配しなくて大丈夫ですよ。幸いなことに、確定申告はほぼ終わっています。残りは私達で出来ますから」
「私達は、所長にスキルを叩き込まれています。乗り切るから安心して」
「皆さん、ありがとうございます。私は、父の荷物などを持って行きますので、今日はこれで失礼します」
一礼すると、「任せとけ」1番年配の人らしき人が、大丈夫だと言わんばかりに、肩を叩いて、席に戻って仕事を始めた。
「碧、行こうか」
「はい」
2人は事務所を後にした。

病室に向かうと、点滴をしているお父さんは目を瞑っていた。
私達が傍に寄ると気がついたみたいで、笑顔で迎えてくれた。

「やぁ･･･碧さんまで迷惑をかけたね」
「ご気分は、少しはましになりましたか？」
「あぁ、こんなにゆっくり寝れたのは久しぶりだよ」
ため息交じりで、話すお父さん。
「取りあえず休めよ。荷物ここに置いとくから。また明日くるよ」
「あぁ。碧さんも、ありがとう」
「ゆっくり休んでくださいね」
私達はお父さんの荷物を置いて、病院を出た。