クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
「そういう事だ。変な気を回すな」
「はい・・・」
恥ずかしくなって、布団で半分顔を隠した。
「ほらっ、手、貸して」
私が手を伸ばすと、優しく握り締めてくれる。
「今日はこれで我慢しろよ。俺も我慢するから」
私はその手を強く握り絞めた。
「これだけでも幸せです」
温かく大きな手・・・2人の繋ぐ手が、このまま離れることがありませんように。

経理課は広大さんが来なくなっても、変わらない日が過ぎて行く。
部長は分からない事があれば、広大さんとリモートで引き継ぎをしていた。
時々、「不安で仕方ないよ」彼女のように、甘えている。
それ、私の台詞ですから・・・

次の課長の面接は着々と進み、候補が決まったらしい。
「次の人も、税理士みたいだよ」
北川さんの情報入手の早さときたら。

そろそろ北川さんに打ち明けてもいいかな・・・
「北川さん、今日、一緒に帰りお茶でもどうですか?」
「何々、恋の相談?」
この人の察知能力は凄い。これなら情報を早くキャッチするかも。
「そんなところです」
「分かった!早く仕事終わらせようね」
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