クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
はぁ・・・ようやくセミナーが終わったよぉ・・・
バッグの中にペットボトルやテキストを入れようと、キーケースや財布を一旦机に出して、整理していた。

「それ、アヤメ?」
時東さんは、私のキーケースに付いている、キーホルダーを見ていた。
「これですか?似てますけど、違うんですよ。知らないと間違えますよね」
私は愛おしそうにキーホルダーを触る。

「私の初恋の人がくれた、大切なお守りなんです」
時東さんは、興味を持ったのか、じっとキーホルダーを見ている。
「そう・・・少し触ってもいいかな?」
「どうぞ」
時東さんは手に取り、キーホルダーを撫でていた。
「これって・・・」
「ちょっと、欠けちゃってるんですけどね」
少し驚いたような顔をした後、私の手の平に置いた。
「ありがとう。大切にしてるんだね」
「はい。花言葉が素敵で、辛い時があってもこれを見ると頑張ろうって思えるんです」
「そうか・・・」
時東さんは黙って、私のキーホルダーを見ていた。

はっ!私、何を時東さんに話しているのよ!
「す、すみません、私の個人的な話をつい・・・お疲れ様でした!」
「お疲れ様。気をつけて帰れよ」
「はいっ!」
私は、時東さんに挨拶して、北川さんの所に向かった。
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