クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
部長が会議室から出て来て、「私、片付けますね」北川さんにそう伝えた。
会議室に行くと、大倉さんが片付けている。
「大倉さん、私、片付けますよ」
「いいよ、これくらい」
2人はしばらく無言で片付けていた。

「時東課長とは知り合いなんだ。嫉妬するようなあの目は、2人のどちらかが好きなのかな?」
「か、勘違いじゃないですか」
私の体は言葉とは反対に、顔が熱くなってきた。
大倉さんの方を向かないようにしないと・・・
「そう?じゃあ、俺の勘違いだね」
良かった・・・バレちゃったかと思った。
「まぁ、その方が俺は助かるけど」
「えっ?」
「いや、何でもない。よし、片付いたから、後はお願いね、笠間さん」
大倉さんは意味ありげに笑って、会議室を出て行った。

その日は、明日の会議資料の数字を出すのが遅くなって、大倉さんと北川さんと3人で残っていた。
「笠間さん、私、給茶室行って、片付けてくるね。大倉さんに報告しといて」
「はい」
私は帰る準備をした後、大倉さんに報告に行った。

「大倉さん、遅くなってすみません。データアップしてますから、確認お願いします」
「あぁ、遅くまでありがとう」
「私達、これで失礼します」
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