クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
「ねぇ、下にあったカフェに寄ってから帰ろうよ。笠間さん、時間大丈夫?」
「はい、大丈夫です!」
ようやく週末迎えほっとする中、3人でカフェに向かった。

「ねぇ、時東さんの隣だったね。緊張したんじゃない?」
「緊張しました。でも、優しかったですよ」
「そうなんだよね。淡々として、どんなハプニングにも冷静で、いつもクールなのに、時々見せる優しさに、皆やられちゃうんだよね」
はい・・・私、やられちゃってる1人です。
「でも、実はさ・・・武郷さんが言ってたらしいけど・・・」
北川さんが顔を近づけて、
「時東さん、武郷さんの婚約者らしくて。親同士が知り合いだとか」
その言葉があまりにも衝撃で、返す言葉が出ない。
「私の同期、去年辞めた総務の子だけどさ・・・ねぇ」
「うん」
2人は、寂しそうに顔を見合わせていた。
あっ、確か、凄く活発で綺麗な人・・・

「実は、時東さんの事が好きでね。仕事で声掛けたりしてたら、武郷さんに呼ばれて。私の婚約者だから、手を出したら許さないって言われてさ」
「そ、そうなんですか」
「その後、武郷さんが居ないと思って、時東さんに話かけたところ見られてさ。しばらくして営業部に異動になったのよ。彼女、総務の仕事が好きだったから、結局辞めたの」
こ、怖い・・・
「今までにも、釘をさされた人がいるって噂だけどね」
時東さんが、そんな人と婚約してるなんて・・・
「まぁ、普通に仕事するだけなら何も言わないわよ」
「そ、そうですね」
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